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お菓子作りで失敗する一番の原因は、「レシピ通りにしないこと」です。
お菓子作りは科学的な側面もあるので、ちょっとレシピと違うことをすると途端にうまくいかないことが多いです。
でも中にはきちんとレシピに沿って作っていても(作っているつもりでも)、失敗したり何か違う仕上がりになってしまう場合もあります。
技術的な問題もありますが、生地が上手にできていても、なぜかうまくいかないこともあります。
この記事では、レシピ通りに作ったのに失敗した場合に考えられる原因をご紹介します。
考えられる原因は以下の6つです。
厳密に言えば①と②はレシピ通りにしていないのですが、本人はレシピ通りに作っているつもりなことが多いのでここに含めています。
①レシピと同じ量で作っていない。
②実はレシピ通りの材料を使っていない。
③時間をかけすぎている。
④器具の大きさが合っていない。
⑤機械のスペックの違い。
⑥型の素材。
①レシピと同じ量で作っていない
2倍量や半量など、レシピと同じ量で作っていない場合です。
これは毎回失敗するわけではなく、なんの問題もなく上手くできる場合もあります。
失敗するのは、加熱する工程がある場合と、技術力の問題がある場合に多いです。
同じ分量で作らなかったら何がまずいかというと、
-火の通り具合が変わる
-水分の蒸発量が変わる
-混ぜる時に力加減が変わる
といったことが起こります。
実際にありがちな状況をいくつか挙げてみると、
・パウンドケーキを4倍量で作って4台同時に焼いたら一部生焼けだった。
→天板に隙間なく無理やり並べた場合、密集した部分には火が通りにくい。
・シュー生地を半量で作ったら、生地がすごく固くなった。
→本来の量で作る時よりも、蒸発する水分の量が相対的に多い。
・シフォンケーキを2倍量で作ったら、生地が全然膨らまなかった。
→卵を泡立てて作る生地は、混ぜ方が下手だと混ぜる回数が必要以上に増えて泡を潰してしまいがち。
このような場合、慣れている人だと
-適度な間隔で天板に並べ、それ以上は1度に焼かない。
-小さい鍋を使って火加減も調節する。極端に少ない量では作らない。
-泡を潰さない混ぜ方をする。それができない量では作らない。
といった対処をします。
倍量などで全く影響を受けないお菓子もあるので一概に◯倍量で作る=失敗するというものではありませんが、初めて作る人や不安な人は安易に◯倍で作ろうとしない方がいいです。
②実はレシピ通りの材料を使っていない
これは材料名が簡単に書いてあるレシピだと起こりやすい失敗です。
ただ単に「卵」と書いてある場合、MサイズとLサイズだと、卵黄はほぼ同じですが卵白の量は10gほど違います。
これが5個分ともなると、卵白の量が50gも違うことになります。
大抵は「Mサイズの卵を使用」などと記載があるので、それに従うようにします。
卵以外だと、生クリームとチョコレートも注意が必要な材料です。
生クリームは乳脂肪分が多いほど保形性が高いので、乳脂肪35%の生クリームでデコレーションをすると形を保つことができません。
またガナッシュを作る場合などは、乳脂肪分の高い生クリームを使うと油分が多すぎて分離してしまうこともあります。
チョコレートはレシピと違うカカオ分のものを使うと粘度が違ったり、焼き菓子に使う場合は仕上がりの固さや膨らみが違ってきます。
また生クリームの時と同じく、レシピによっては分離してしまうこともあります。

他には小麦粉は同じ薄力粉でも銘柄によってタンパク質量が違う、粉糖は固まり防止のためにコーンスターチなどが混ざっているものとそうでないものがあるなど、大抵は普通に作れるものの、作るお菓子によっては少し仕上がりに影響が出るものもあります。
あと自分が生クリームやバターやチョコレートだと思って使っていても、原材料をみると代用油脂で作られたもの(植物性クリーム・マーガリン・準チョコレートなど)の場合があり、それが原因でうまくいかないこともあります。
これを防ぐには、なるべく材料が詳しく書いてあるレシピを選び、使う材料も原材料をよく確認して使用するようにします。
レシピは、卵はサイズ表記があるものやグラム表示してあるもの、生クリームは乳脂肪分%、チョコレートはカカオ分%(できればメーカーも)が書いてあるものだと安心です。
小麦粉は少なくとも薄力粉/中力粉/強力粉はそれぞれ代用しないようにし、粉糖は「純粉糖」指定の場合は、混ぜ物のない100%粉糖のものを使います。
③時間をかけすぎている
クッキーやパウンドケーキがどちらかといえば初心者向けのお菓子として扱われているのは、作り方以前に、途中で手を止めたりゆっくり作業しても、比較的生地の劣化が少ないからというのもあります。
お菓子作りはある程度手早くやらないと、膨らまなかったり食感が変わったりと、うまくいかないことが多いです。
一番イメージしやすいのがスポンジ系の生地だと思います。
卵を泡立てた中に粉を混ぜて焼きますが、泡立てた泡は時間が経つと消えていくので、生地が空気を含んでいるうちにオーブンに入れなければいけません。
さらに混ぜ方によって泡が多少潰れるので、なおさら初心者には難しいです。
シュー生地はある程度慣れた人向けですが、作業途中で生地が冷めると焼いても膨らみが著しく悪い生地になります。
生地作りが上手にできたとしても、焼く段階で生地が温かいうちにオーブンに入れるのと冷めてからオーブンに入れるのでは膨らみ方が違うので、出来上がりのシュー皮の大きさは一回りぐらい変わってきます。
だから生地作りは事前に作業工程を頭に入れてノンストップで行わないといけません。
初心者向けと言われるクッキーやパウンドケーキでも、室温が高い中で時間をかけて作業したり、体温が高い人が生地を触りすぎるとバターが溶けてしまって、膨らまない・油っぽい・ガリガリ食感などになってしまいます。
始めにお菓子作りには科学的要素があると言った通り、温度はとても重要です。
作業に時間がかかると泡が消える以外にも、温度変化によって本来発揮される特性がなくなってしまうので失敗することが多くなります。
↓赤外線の温度計を持っておくと便利です。

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④器具の大きさが合っていない
「大は小を兼ねる」と言いますが、お菓子作りでは必ずしもそうでないことが多々あります。
量に対して小さすぎるボウルやヘラを使うと混ぜることができないのは想像がつくと思いますが、大きすぎるものを使うのもうまくいかない原因になることがあります。
液体を鍋で加熱する工程の場合、同じ量でも水深が5cmぐらいの深さになる小さめの片手鍋を使う場合と、1cm弱の深さにしかならない大きな鍋を使う場合だと、同じ強さの火にかけたとしても蒸発量が変わってきます。
例えばソースを作ろうとして、片手鍋で作ると適度なとろみのついた液状になるのに対し、大きい鍋だともったりしたペースト状になったりします。
(①と同じように、蒸発量の違いでうまくいかないケース。)
共立てのスポンジケーキを作る時は、卵は温度が低いと泡立ちが悪いため、卵と砂糖を湯煎で温めて卵が温かいうちに泡立てます。
この時に卵の量に対してボウルが大きすぎると、水深が浅すぎてホイッパーに全然引っかからないのに、底面積が広くて卵はすぐに冷めるので全然泡立たない、という状態になります。
(③と同じように、適正温度ではないのでうまくいかないケース。)

総量が入る大きさのボウルや鍋を使うのはもちろんですが、量に合った大きさのものを使わないと、水分量のバランスが崩れたり、温度が下がったりしてうまくいきません。
↓家庭でのお菓子作りならφ21cm程度のステンレスボウルが2つあれば大抵のものは作れます。
↓ハンドミキサーで泡立てることが多い場合はこちらのボウルがおすすめです。
↓鍋はφ16〜17cmぐらいでテフロン加工ではないものがあればいろいろ使えます。
⑤機械のスペックの違い
機械のスペックが違うと、当然仕上がりが変わってきます。
代表的なのはオーブンです。
大抵のレシピには、「温度は目安なのでオーブンによって調整してください」みたいなことが書かれています。
ガスオーブンと電気オーブン、コンベクションオーブンとデッキオーブンだと、それぞれ20度の差があると言われています。
例えば電気オーブンで作るレシピに180℃と書かれていたら、ガスオーブンで作る場合は160℃で試してみます。
また、設定温度を180℃にしても、実際の庫内温度は160℃ぐらいしかないのも古いオーブンなんかだとよくあることです。
それにどんなオーブンでも、熱が強く当たる場所と弱く当たる場所があるので、天板に乗せる位置によって焼き色が全然違ったりもします。
だから自分のオーブンがどんな構造のオーブンなのか、設定温度と庫内温度の差があるのか、焼きむらのクセはあるのかなどを把握しないと、思い通りに焼き上がりません。
とりあえずレシピ通りの温度で焼いてみてうまくいかない場合は、
・自分のオーブンの付属レシピブックに同じお菓子の作り方が載っていたらその温度で焼く。
・オーブン用の温度計を使って設定温度と庫内温度に差がないか確認する。
・レシピで使われているオーブンの種類がわからない場合は、±20℃ぐらい温度を変えて何度かやってみる。
・上段や下段など、オーブンの中で天板の位置を変えてみる。
・「底だけ焼けすぎる」などの場合は、天板を2枚重ねにするなどして特定の方向の熱を遮断する工夫をする。
を試してみてください。
ガスコンロとIHの場合も、違いが出やすいところです。
レシピで「中火」となっている場合、ガスコンロだと炎の大きさが目に見えてわかりますが、IHの場合はメーカーによって目盛りと火力が必ずしも一致するとは限りません。
私も普段ガスコンロの中火で2分程度で加熱し終わるところが、IHの中火(の目盛り)だと10分以上かかって仕上がりの水分量が全然違ったことがあります。
(①と同じように、蒸発量の違いでうまくいかないケース。)
それにガスだと周りから徐々に沸いてくるところが、IHだと突然真ん中から沸いてきて急激に状態が変わったりすることもあります。
いつも自分が使っているIHなら大体の火力がわかるとは思いますが、レシピの弱火〜強火表記の通りにやってもIHだと火力が違うことも多いので、自分のIHに合わせた火力で作ってください。
あとはハンドミキサーもメーカーによって多少パワーが違います。
あまりにもパワーが弱い機種だと、一気に泡立てる必要があるメレンゲや、温かいうちに泡立てないといけない全卵などの場合は、時間がかかりすぎてうまくいかない場合があります。
私が今まで見てきた中では、羽が2つ付いている一般的なハンドミキサーだとかかる時間が多少変わるぐらいで特に問題はありませんでしたが、ハンドブレンダーのホイッパーアタッチメントは機種によっては弱すぎることがありました。
↓オーブン用の温度計があれば自分のオーブンの癖が把握しやすいです。
↓ハンドブレンダーのアタッチメントではなく、「ハンドミキサー」を使う方が良いです。
⑥型の素材
焼き菓子の場合、型の素材(=熱伝導)によって仕上がりはかなり変わります。
オーブンで使う型には、金属製・シリコン製・紙製・ガラス製などがあり、さらに金属製の中でも、銅・アルミ・鉄・ステンレスなどの種類があり、熱伝導率も違ってきます。
作るお菓子によって一番適している型の素材がありますが、ほとんどの場合は熱伝導の良い金属製の型が(焼き色・火の通り方ともに)綺麗にできます。
例えば人にあげる場合や、型を持っていない時にとりあえず試してみる場合、紙製の型は安くて手軽に使えます。
でも紙は熱伝導が悪く、焼き上がりも乾燥しやすいので、個人的にはあまりおすすめしません。
下の写真は一般的なスポンジケーキを紙製の型で焼いたものです。

側面の焼き目は紙を剥がせばくっついて一緒に取れますが、底は色が濃く分厚いので、紙を剥がしても固いまま残ってしまいます。
また紙の型で焼くと乾燥した焼き上がりになり、特に外側に近い部分は食べるとパサパサです。
さらにこの型は浅めなので、膨らみが型のふちで止まってしまって高さが出ていません。
同じ生地を金属製の型で焼いてみると、全体的に焼き色が均一で高さもあり、しっとりふっくら焼けます。

初めて作るから・初期投資をしたくないからという理由で「とりあえず使い捨ての型で作る」という人もいると思いますが、何回も作ろうと思っているなら、そのお菓子にあった素材の型を用意した方が仕上がりは格段に良いです。
なんとなく難しいイメージのあるカヌレですが、これこそ型の素材が一番影響するお菓子ではないかと思います。

左から鉄・ステンレス・銅の型で、生地や焼成条件は同じです。
生地作りで気をつけるポイントもありますが、成功するかどうかは生地よりもほぼ(8~9割方)型とオーブンの相性だと思います。
相性がよければ適当に混ぜただけの生地でもうまくいくし、悪ければちゃんと作った生地でも全然成功しません。
上の写真は家庭用オーブンを使用しましたが、以前働いていた店では業務用オーブン×銅型で毎回とても綺麗に焼き上がり、失敗したことはありません。
このように生地が完璧でも型の素材が原因の場合があるので、何度やってもうまくいかなかったものが型を変えてみると一発で成功するかもしれません。
↓マドレーヌやフィナンシェはこの型が最高にうまく焼けます。
↓私のオーブンだとこの型が一番相性がいいです。
↓ちなみに上の写真の銅型。天面以外の焼き色は上の型より綺麗なのですが。

日本製 銅カヌレ型 大54mm | 空焼き 不要 日本製 銅カヌレ CANNELE MOLD
それでもうまくいかない場合
私が見てきた中でよくある6つの原因を上げてみました。
それでもうまくいかない場合は、技術的な問題かもしれないし、逆にもっと初歩的な(お菓子作りでは常識すぎてレシピに書かれていない)問題かもしれません。
自分でいろいろやってみて駄目だったら、やっぱり人に教えてもらうのが近道です。
基本のお菓子をオンラインや出張で学べるレッスンと、オンラインの時間制相談を行っていますので、興味がある方は下記のリンクからご覧ください。