お菓子づくりのレシピの下準備で「室温(常温)に戻す」という言葉がよく出てきます。
室温に戻すとは、材料を冷蔵庫から出したての冷たい状態ではなく、常温の状態にすることです。
この記事では、
- 室温とは何度ぐらいなのか
- なぜ室温に戻す必要があるのか
- 具体的にどうやって室温に戻すのか
- 時間がない場合はどうすればいいか
を説明します。
室温とは何度ぐらいのことを指すのか
お菓子づくりでいう室温とは大体20〜25℃ぐらい、暑くも寒くもなく快適に過ごせる温度です。
一般的にレシピもそのような環境下で作る前提で書いてあります。
もし真夏や真冬でこの室温から外れた場合、20〜25℃ぐらいの環境で作る時と同じ温度の材料で作り始めると、作業途中で生地が溶けてきたり冷えすぎて固くなったりします。
だから「室温の材料を使う」と書いてある場合でも、
- 室温が高い場合→材料の温度を低めで始め、手早く作業する
- 室温が低い場合→バターやクリームチーズは少し柔らかめから始める、卵は人肌ぐらいにする
などの工夫をした方がいいです。
なぜ室温に戻すのか
室温に戻すのは、
- 他の材料と混ざりやすくするため
- バターの性質を生かすため
- 生地の温度を下げないため
などの理由があります。
「室温に戻す」と書かれている材料は、(チーズケーキではクリームチーズもありますが、)主にバターと卵です。
クリームチーズ
「クリームチーズ」と言ってもメーカーによって固さは様々で、パンに塗れるクリーム状のものもあれば、ブロック状で割るとボロボロ崩れるものや、ねっとりしたものもあります。
ボロボロの状態だと他の材料と分離したり、均一に混ざりにくいですよね。
だから水分量の少ない固めのクリームチーズを使う場合は、クリーム状やペースト状にしてから使います。
チーズは加熱すると溶けますが、溶けたり焦げたりしない程度に柔らかくなる温度=室温ということになります。
バター
バターは温度によって形状が変わります。
例えば同じ配合のクッキー生地でも、仕込み方によって「サクサク」「ガリガリ」「ほろっと崩れる」など、違う食感の生地になります。
その仕込み方の違いの一つは使用するバターの形状=温度です。
特にクリーム状のバターは泡立てて空気を含ませることができるので、パウンドケーキなどはクリーム状のバターを使った仕込み方で作ります。
(固形のバターや溶かしバターだと泡立てて空気を含ませることができません)。
バターをクリーム状にできる温度が大体20℃ぐらいなので、空気を含ませたいときは室温にしないといけません。
あとはクリームチーズと同じく、温度が低すぎたら分離して混ざらないことも多いです。
卵
卵を室温に戻す必要があるのは、クリーム状のバターと混ぜる場合です。
バターは油分で卵は水分なので、混ぜ合わせ方によっては分離してしまいます。
クリーム状のバターは室温なので、冷たい卵を入れるとバターが固まって小さな塊になり、どれだけ混ぜても分離します。
だから卵も同じ室温にして少しずつ混ぜるとうまく混ぜ合わせることができます。
卵が冷たくても普通に混ざる配合でも、シュー生地のように室温の卵を使うことがあります。
シュー生地は生地が温かい状態でオーブンに入れるとよく膨らみます。
他の材料が温かい状態でも、冷たい卵を入れたら一気に生地温が下がるので、生地の温度を下げないように卵も冷たくない状態で投入します。
シュー生地以外でも、生地が温かい(冷たくない)状態でオーブンに入れた方がいいお菓子には室温の卵を使用します。
でもスポンジケーキなど、レシピに「湯煎で温める」という工程がある場合(卵を温かい状態で使いたい場合)は、特にあらかじめ室温に戻す必要はありません。
室温に戻す方法
室温に戻す場合は、使用する15分〜1時間ぐらい前に冷蔵庫から出しておきます。
時間に幅があるのは、その日の室温(季節や気温)によって、室温に戻るまでの時間が違うからです。
バターは夏場だと10分ぐらいで柔らかくなりますが、冬場だと2時間置いても固いままなこともあります。

バターは薄く切ってボウルの側面に貼り付けると短時間で均一に柔らかくなります。
チーズやバターは乾燥しないようにラップをしておきます。
あまり量が多くない場合は、ボウルに入れずにラップで包むだけでもいいです。

卵は殻ごと置いておきます。
丸ごと1個使わない場合は、計量後にボウルにラップをして置いておいてもかまいません。
ただしその場合、長く置くと傷みやすいので、冬場は後述の「湯煎で温める」方法をとった方がいいです。
室温に出しておく時間がない場合
事前に室温に戻す時間がなくてすぐに作り始めたい場合は、電子レンジや湯煎を使って材料を室温にします。
クリームチーズ
電子レンジで少しずつ加熱して、その都度状態を確認します。
やり方は後述のバターと同じです。
バターのように溶けすぎて性質が変わったりはしないですが、焦げないように注意します。
バター

電子レンジに低出力(200Wなど)のモードがあればそちらを使用します。
600Wのレンジの場合は10秒ずつぐらい加熱し、その都度固さを確認します。

指で押すとスッと入るぐらいの固さになったら加熱をやめます。
その状態で大体20℃ぐらいです。

レンジだと内側から柔らかくなるため、少し油断すると加熱しすぎてしまいます。
全部が溶かしバターになってしまったら冷やしても元には戻らないので、溶かしバターを使うお菓子や料理に使ってください。
一部が溶けた場合は、混ぜてクリーム状になれば使用できます。

上の写真からかき混ぜたもの。
少し柔らかいですが一応使用できます。
ただしレシピの求めるクリーム状より柔らかい場合は、空気をあまり取り込めないので膨らみや食感が悪くなります。
ホイッパーで混ぜた時に少し力がいるぐらいの固めのクリーム状がベストです。
卵

卵はステンレス製の器に入れ、かき混ぜながら60℃ぐらいの湯煎にかけます。
かき混ぜていないと固まってしまうので注意してください。
温めるというよりは冷たくない状態にするのが目的なので、指を入れて冷たくなくなれば湯煎から外します。
まとめ
今回は「室温に戻す」ことについてお話ししました。
定番お菓子の作り方によく出てくることなので、なんとなく理解していたけど‥という方のもやもやが解消されればと思います。

