前回、アメリカの小麦粉と日本の小麦粉でジェノワーズを作って比べてみた記事を書きました。

じゃあ日本の小麦粉の中では、銘柄によってどのぐらい違いがでるのか?
ということで、今回は4種類の粉で比較してみました。
今回も全て、こちらの動画の配合で作りました。
今回使用した粉
- シュクレ(タンパク含有量9%)
- ハート(タンパク含有量8.2%)
- バイオレット(タンパク含有量7.5%)
- スーパーバイオレット(タンパク含有量6.5%)
前回も書きましたが、小麦粉の中のタンパク質と水が混ざって力が加わるとグルテンが形成されます。
グルテンがあると弾力が出る反面、多すぎると伸びが悪くて膨らみにくくなります。
つまり小麦粉のタンパク質の含有量がスポンジケーキの膨らみに大きく影響します。
日本の小麦粉はタンパク質の量で薄力〜中力〜強力に分類されますが、薄力粉の中でもタンパク質の少ないものと中力に近いぐらい多いものがあります。
今回は薄力粉の中でもタンパク質の多いもの〜少ないものを4種類選びました。
シュクレ
タンパク含有量:9%
高さ:5cm
北海道産小麦「キタホナミ」100%使用の薄力粉です。
どちらかというと粉の味を出したい焼き菓子向きですが、今回はあえてジェノワーズに使ってみます。

前回のアメリカの粉と比較すると十分きめの細かい仕上がりです。
これだけ食べるとスポンジとしては問題ない(固いとかはない)ですが、ちょっと詰まった感じもあるので、このあと作るものと比べるとふんわり感が少しもの足りないかもしれません。
ハート
タンパク含有量:8.2%
高さ:5.3cm
日本製粉のもので、今回の4種類の中では1番一般的に販売されている粉です。
お菓子以外に料理にも幅広く使えます。

ちょっと大きい気泡が入ってしまいましたが、シュクレより膨らみが大きく、目が詰まった感じもしません。
スポンジケーキとしては十分です。
バイオレット
タンパク含有量7.5%
高さ:5.5cm
日清製粉の菓子用薄力粉です。
今まで私が働いたほとんどの店で使っていました。
スポンジ〜クッキーまで使えます。

ハートほど取り扱い店は多くないですが、一般スーパーでも売っています。
スーパーで売っているものはこのパッケージです。

ハートと作業性は変わらず、仕上がりは少しの差ですがよりきめ細かくてしっとりふんわり。
スーパーで売っていて手に入りやすいので、ハートで作るよりも簡単にふんわり感を上げることができます。
スーパーバイオレット
タンパク含有量:6.5%
高さ:5.7cm
日清製粉の、バイオレットよりさらに細かくタンパク含有量の少ない粉です。
以前この粉でクッキーを作ったことがあるのですが、仕上がりが軽すぎて物足りなかったので、スポンジ系の生地に使うのに適しています。

粉合わせの段階で、圧倒的に生地が軽いのがわかりました。
オーブンの中でも他の粉に比べて抜群に浮きがよく、1番空気感がある食感です。
まとめ
粉の特徴は灰分や小麦の原産地なんかによっても違うのですが、今回はタンパク含有量に着目して比較してみました。
シュクレだけ国産小麦というのもあるのかもしれませんが、やはりタンパク質が多くて焼き菓子向きの粉だとスポンジとしては少し重めの仕上がりになってしまいました。
アメリカのAll-Purposeの後に作ったのでこれでも十分ふんわりしているとは思ったのですが、スポンジを作るならハート以降の粉を使ったほうがいいです。
ハートでも本当に十分ふんわりした仕上がりなのですが、よりふわふわ感を求める方は製菓専用粉を試されるといいと思います。
スポンジだけの話だとスーパーバイオレットが圧倒的に軽く仕上がりますが、スポンジ系だけでなくクッキーもパウンドケーキも作るというのなら、オールマイティーに使いやすく手に入りやすいバイオレットを買ったほうがいいです。
ちなみに私はシュクレとバイオレットを常備しています。
(「シュクレ」は主にcottaで販売していますが、他の販売店で売っている「ドルチェ」という銘柄の粉と製粉会社が違うだけで原材料や使用感などはほぼ同じです。)
お菓子をよく作るけど、そんなに何種類も粉を持ちたくないのならバイオレットをおすすめします。
ジェノワーズを直接学びたい方はオンラインレッスンもあります。
オンラインレッスンを受けられない方はnoteでレッスン内容を文字起こししています。


